※2018年頃、わたぬき個人の体感と経験を元にした個人的な対処法で、すべてのストラテラ服用者に有効とは限りません。主治医とよく相談してください。
ストラテラを飲むと、イライラする頻度が上がり、頭皮がゾワゾワしたり、眉間が痛くなることがある。これは私がストラテラを服用した時の、特有の症状だ。
本来ADHDは、基本的に怒りが持続しない人が多いらしい。
私自身、相当にキレても30分経てばストンと落ち着く。ASD優勢だけどADHD傾向のある父と弟も同じだ。機嫌が悪くなっても15分程度で素に戻る。
基本的に怒りの沸点が高く、なかなか怒らないし、噴火してもすぐに落ち着く。これには闘争本能や集中の持続を司るノルアドレナリンの濃度が低いことも影響しているらしい。
つまり、ノルアドレナリンの濃度を一定以上に保つストラテラ(アクセプタ)を服用するということは、怒りの沸点が下がり、持続するということだった。

ということで、今回は単純に「怒りっぽくなる」「イライラする」と表現されるストラテラ(アクセプタ)の副作用について個人的に調べた内容と、飲んでいて体感した「怒り」と「攻撃性」の変化を語ろうと思う。
服用後の怒りは、いつまでもネバつき、こびりつくような怒り
ノルアドレナリンを再吸収するADHDの脳みそには、ノルアドレナリンが少ない。
だから怒りの沸点は高いし、爆発しても尾を引きにくいし、恨み辛みや憎しみも持続しにくい。
良くも悪くも忘れてしまう。(極稀に、こいつ絶対に一生涯許さんで…てこともある。人間だからね)
そのへんのメカニズムについては、こっちで詳しく説明してるので割愛するとして。

素の状態の怒りは乾いている
素の状態の私の怒りは、例えるなら乾いた怒りだ。
偶にどうしようもなく腹が立った相手に怒るとき、傍から見ると王蟲の目が赤が変わったように怒り狂って、もうこれは血の雨が降る…落ち着いてもただでは済むまい…という怒りっぷり(らしい…友人曰く…)
けれど、事態が起きてから15分~30分ほど経つと、まったく何事もなかったかのようにストンと落ち着く。
多分、臨界に達して大量放出したノルアドレナリンが再吸収されて、素に戻る奴だ。
あれだけ怒ってたのに?と言われるほど、怒りが消え失せる。許す許さないではなく、どうでもいいのだ。
文字通りの「もういいよ、気にしてないから」だ。
しかし、ストラテラを飲み始めて最初に一番強く感じたのが、この怒りの感情の変質だった。
粘つく怒りに変質し、沸点が下がった
ストラテラを服用するようになってすぐ、サラッと乾いてすぐに風で飛んでいく怒りの感情が、急に粘着質のねっとりとこびりつき、粘つくような怒りに変わった。
感じた腹立たしさや怒りはいつまでもふつふつと腹の底で煮え続けて持続し、怒りの沸点が低くなる。
怒りの感情によるストレスは想像以上で、周りの刺激に過敏になる。
今までの自分では考えられないような些細なことにも怒りやすく、いつでもイライラしたり怖くなり、攻撃的になった。
脳内にある怒りのホルモン・ノルアドレナリンの量が多くなったことも原因の一つだろう。
同時に、すぐ忘れて飽きっぽく、集中しないという部分が改善されたぶんだけ、「怒りの原因と、怒っている今の状態」を忘れて目をそらすことができなくなっていた。
大人のADHDは「怒り」に対するストレス耐性が薄い
実感したのは、自分の怒りの感情にストレスを感じ、精神的に荒れたり鬱が悪化したり、周りに攻撃的になるという、自家中毒のような症状だった。
当時はまったくその理由がわからず、寂しさや悲しさ、怒りが突沸して、そのままいつまでも続くという状態に自分自身で振り回され、周囲を巻き込んでしまった。
今にして思えば、あれは30年以上生きてきた中で「自分自身の怒り」に対するストレス耐性がまったく構築されていないせいだとわかる。
怒り慣れていないのだ。
偶にカッとなっても半日続けば(自分は相当怒っていたな…)というレベルで、人に怒ることにも、自分が怒り続けることにも慣れていない。
これはストラテラの効果が馴染んできても、文字通りの副作用としてずっと残り続ける。
1年2年経って、次第に自分の怒りに対するストレスに耐性が付き、慣れてくるのを待つしかない。
その間、対処療法で対応することで、対人関係の崩壊はある程度最小限に収められる。
普通の人と同じ、怒りを発散する対処法しかない
怒りそのものは大事な感情だ。今まであまり人並みに持ち合わせていなかったものを、やっと獲得したところだ。
なので、普通の人の、怒らない、穏やかにというのは、一足飛びすぎる。
そのうえで、対処法は普通の人が怒りを発散させるのと同じ方法しかない。
誰かと楽しい話をして、飲んだり食べたり、思い切り遊ぶ。あるいは全力で怒りの原因について愚痴る。
そうやって気を紛らわせ、怒りを少しずつ洗い流して緩和していく。
風が吹くとすっと飛んでいった怒りとは違う、粘つくような怒りの対処はそれしかないと割り切ろう。
怒り慣れていないことを自覚しておく
なにしろ大人になるまで「普通」の怒り方をしていなかった人間が、いきなり普通の怒り方を身に着けてしまったわけだから、怒り慣れてない。
なので、そこは自覚しておこう。
怒り慣れていないと力加減が分からず、「この怒りをはらさずにおけるか!!許すまじ!!!」とばかりに、相手も自分も叩き壊す勢いで延々と怒りを燃やして突き進んでしまう。
いわゆる普通の人、定型発達の人たちは、それこそ乳幼児の頃からその形の怒りと付き合ってきている。
私達は怒りの感情に対してはまるっきり幼児みたいなものだが、幸いにして大人の理性と知性を持ち合わせている。
怒りに振り回されるのではなく、荒波を乗りこなすよう腹をくくろう。速効性のある対処法はない。少なくとも私にはなかった。
「怒り」の突沸に対する対処法
今までよりも沸点が下がり、怒りやすくなっていることを自覚していても、怒りは突然にやってくるからどうにもならない。
ここは怒るべきだろう!という時もあるから、むやみやたらと押さえつけるのもまた問題だ。
ただ、声を荒げて怒り狂えば、多くのものを失くすことになる。
私は自分の感情に振り回されて、怒り、泣き、寂しがり、助けようとする人に縋り付いて、結果として多くの友人知人を失い、支えてくれた人たちを傷つけ、去られてしまった。
怒りがこみ上げたら一旦その場を離れる
怒り慣れていないから、怒りながら自分の主張をぶつけることは難しい。
普通の人も当然怒ってるときにそんなのは難しいだろうが、輪をかけてスーパーとかで大の字になってジタバタしながら泣き叫ぶ子どもみたいなもんだ。
私はまず、「自分が今、怒ってる。だが、このまま怒りをぶつけたくない」ことを伝えてその場を離れるようにしている。
喧嘩はその場でぶつけ合って発散して、お互い様で仲直りなんて、友情神話や愛情神話という名の都合のいい幻想だ。
大人同士になってしまえば、子供の喧嘩ではすまない。
怒りの衝動で相手を傷つけてやろう、懲らしめてやろうと思っている時に出る言葉は、そのまま突き刺されば人間関係には致命傷だ。
「怒らせたお前が悪い」「喧嘩してるんだから」を免罪符に、誰かを傷つける行動や言葉をぶつけていい理由はない。
なにに怒ったのかを文字にする
誰かに愚痴ってぶつけるのも一つの発散法だ。ただ、それにはデメリットが存在する。
友人や家族は多少なら聞いてくれるが、愚痴が度重なれば「怒りっぽく愚痴っぽい、自己正当化が好きな人だ」という評価を受ける。
同時に、怒りや負の感情、相手へのマイナス評価を話した相手にも分け与えてしまう。
なので、今は水の一杯も飲んで、怒りをテキストに起こしてぶつけている。
ありとあらゆる罵詈雑言を吐き出し、怒りのままに筆を進め、これを公開してやる!!とばかりに書く。
そしてお茶を飲んでからそれを見ることで、自分がなにに怒ったのか冷静に客観的に見ることができる。
なにかの形にして吐き出してしまうと、怒りは案外、昇華されるものなのだ。
自分も悪かった、ここは良くなかったと思ったら、謝罪とともに怒った理由を説明し、話し合う。
誹謗中傷やパワハラ・セクハラなどなど、相手の非を絶対に許さんと思ったら、そのテキストと共に相手との縁を葬り去る。
それでもダメなときはダメだ、そういう時は飯食って寝ろ
どうしても怒りが収まらない時はある。怒りのコントロールをしても、どうにもならないこともある。
こちらが怒りを収めて謝ったところで、相手の怒りが収まらないときもある。
ダメな時はダメ、深追いは諦めよう。追いすがり、しがみついても、関係は悪化しかしないことのほうが多い。
心は複雑だけど、脳みその反応は意外と単純だ。化学反応の連続でできている。
だから、なにか美味しいものを食べて、脳内の幸福ホルモンを増やそう。
入浴剤を入れた風呂につかり、リラックスしよう。
そして寝てしまおう。
怒りとは一生の付き合い
喜怒哀楽の感情は、一生付き合っていく。
うっかり怒りの感情が薄い人生だったが、ストラテラの服用で向き合えるのは、一つ、幸いなことだと思う。
怒りの源はさまざまだ。理不尽なことだったり、プライドを傷つけられたり、心を抉られたり。
一つ一つは、自分自身を守ると同時に、自分を見つめて振り返るためのポイントでもある。
色んなライフハックには怒ることを悪とする本もあるけど、そんなに邪険にしてやるなよ、自分の中の一つじゃないかと思ってる。
ADHDがストラテラ(アクセプタ)を飲み始めて向き合う怒りの感情との付き合い方は、よちよち歩きと割り切って、対外的なオブラートとは別にゆっくり併せていけばいいのだ。
ADHDとASDの当事者の、ストラテラ服用にまつわる色々とか、仕事の話とか、ライフハックとか。
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